《レポート》A&J京都本社訪問レポート

俺の嫁!in大阪の前日にA&J京都本社へ行って参りました。

今まで関西方面へ行く機会は殆ど無かったのですが、今回は俺の嫁!in大阪の開催に合わせる形で訪問できるのか伺ってみたところ、特別にOKが得られたので行って参りました。
(実際、この手の所へ単身で行くのは初めてなのでちょっとドキドキ^^;)

●京都
今回、関西方面へ単独で行ったのは初めてでしたが、なんとか問題なく着くことが出来ました。
(本当は京都観光もしてみたかったのですが…あまりその時間もとれず、結局は京都駅の中をウロウロするだけでした^^;)
京都駅 西大路駅

●A&J本社
A&J京都本社はJR京都駅の隣、西大路駅から徒歩で15~20分程度の距離にありました。
場所は京都駅から見て南側、名所仏閣が多くあるのある北側とは反対側に位置していて、周辺には繊維/染色系の業者の多く集まる産業地域の中にありました。

建物は周りの建物から比べるとスタイリッシュで、遠くから見てもよく判る特徴のある形をしてました。
公園越しに見えるA&J本社 A&J本社正面
建物自体は見ての通り独特な形をしていて、かなりセンスの良いデザイナーズ物件のようです。

この建物へは最近移ってきたようですが、以前の場所と比べてセキュリティもかなり万全な態勢になっているようです。
入り口や駐車場の奥の方にも監視カメラがあり、入り口の自動ドアも内部から操作しない限りは開かないよう厳重な状態のようです。(実際、そのまま扉の前に立っても開きませんでしたし^^;)
※GoogleストリートビューにはA&Jが入る前の写真を見ることが出来ますが、以前はそういった設備は一切無かった様です

入り口を入って直ぐの場所には商談スペース、その奥にはパーティションに仕切られて事務スペースが見えました。

訪問した日は休業日だったようで社員はほとんど居らず、今回出迎えてくれた専務の吉野さんと社長の吉野さんのお二方(…同姓ですが別人です^^;)の他、スタッフが数名いるだけだったようです。
(素顔については現代視覚文化研究vol.3のインタビュー記事で確認できますので、そちらを参照下さい。^^;)

お二方とも京都なまりで、話していても職人気質がかなり高い印象を受けました。

●対談
早速商談スペースに案内されたので、早速商談に…ではなくて色々お話を伺いました。

会社自体はかなり以前に設立され、当初はシルクスクリーン印刷をメインに行ってきたようですが、10数年前からインクジェットプリントを始め、抱き枕についてはつい最近(4~5年前)から扱い始めたようです。
※ここら辺の事業沿革については公式サイトにて詳しく書かれてますので、そちらの方を参照下さい。

始めて抱き枕の製作を行う仕事を受けたのはなのはプロジェクトの抱き枕カバーが最初だったそうです。
その後、まちキャラの抱き枕カバーシリーズを扱うようになり、徐々に広がっていき今に至るようです。(経緯へし折りすぎ?)

最初のうちはA&Jという名前は出してなかったようですが、いつの頃からか名前が知れ渡るようになり、今では抱き枕のトップメーカーにまで上り詰めました。

A&J自体は現在でも抱き枕専門というわけではなく、他にも多数のアパレルメーカーとの取り引きがあり、最近では有名選手のユニフォームを手掛けてもいるようです。
某政府系の布印刷も手掛けていたようです。生地が特殊だったようで全国を探し回っても結局A&Jでしか作れなかったとかで。それだけでも技術力の高さを覗えます。
(それに関連した取材も受ける予定だったようですが、その時は既に抱き枕の生産がフル稼働状態だったようで結局取材は出来なかったという逸話も…^^;)

抱き枕の印刷とは言っても、単純にどこからか生地を買ってきてそれに印刷するだけというわけではなく、糸の選定から始まり、生地作り、漂白、印刷/転写、縫製、包装まで多数の工程があり、それを全て管理しているようです。
実際には全てを一社で出来るわけではないのですが、その中でも中核となる印刷転写に関してはA&J自身が行い、他の工程に関しては大量生産時には外注にて行っているようです。(少量生産や試作品などについては、印刷/転写以降の工程も社内で行えるような設備も持っているようです。)

今回見せて頂いたのはショールームと転写室と縫製室でした。(印刷機については今回見た中にはありませんでしたが、多分入れなかった別の部屋にあるのでしょう^^;)
実際、社員であっても入れる部屋は限られているようで、かなりの厳重さが覗えます。
本社奥手 社名プレート

●ショールーム
最初に案内されたのは商談スペースでしたが、ショールームも拝見することが出来ました。
ショールームは2Fの奥側にあり入って直ぐに見れる場所というわけではありませんでした。

ショールーム内にはそれぞれ数種類ずつ色々な物が展示されてました。(A&Jトップページの動画で流れてるものとほぼ同じ状態ですね。)
展示されてるものは全てA&Jが取扱っている物ですが、権利自体は保有してない物が多数あるのでここも撮影することは出来ませんでした。^^;
(実際、公式サイト上にて掲載されてる写真に載っている物に関しては、全て使用許諾を取っているそうです。)

展示されていた中にはスク水なるものもありました。実際のスク水とは若干形状が違う(上下が分離する)ようで、これはコスプレ用として依頼を受けて製作された物のようです。
それでも、実際に水着としての使用にも耐えられるように作られているようで、かなりしっかりとした作りになっているようです。

他にはこちらもまだ試作段階のブラパットもありましたが、こちらはまだ固定する方法がまだ未完成のようで、一応抱き枕本体にブラジャーのように装着するようになっているのですが、試作品では左右の乳が固定されていてこれでは絵柄に合わせることが難しいと言うことでNGになったようです。
それでも、その試作品に使われていた生地はまた特殊な物のようで、縁が無くても問題ないような生地が使われていました。

ちなみに、乳の形も以前はまん丸な形でしたが、今回は実際の形に近い形状になっていて、これの為に特注の金型まで起こして製作されたようです。
こちらについてもかなり苦労されているようで、かなり熱心に説明されていました。^^;

抱き枕の他にはタペストリーも扱っていて、最近製作された等身大のタペストリーがかなり好評だったようです。

他にはまだ試作品のようですが、布ポスター(正式名は不明)も見ることが出来ました。
お風呂ポスターの布バージョンとして作ったようですが、浴室内の平らな壁の他に、通常の壁紙を貼っているような壁にもそのまま留め具や粘着剤ナシで張ることが出来るようです。(というか、ちょっと提案してみて実際問題ないのでいけそうという話に^^;)
裏は特殊な樹脂製ですが、表は普通の布で、多分タペストリーと同じ生地かと思います。当然ながら水濡れOKで汚れれば洗うことも可能なようです。

(…本当は抱き枕を吊す良い方法を聞いてみたかったのですが、ちょっと別の物が出てきました^^;;)

●縫製室
ショールーム奥の階段を上がって次は縫製室へ。(実際にそいう名前の部屋なのかは覚えてませんが…^^;;)
※建物の構造は詳しく書くと色々(保安的に)問題ありそうなので省きます

こちらは試作品と少量生産時に使われるようで、ミシンが数台と大きなテーブルがありました。

試作品は当然ながら社外秘なので外に出さずに作れてるようにしている他、少量受注な品物を作るときにも使われるようです。
数台ではありますがある程度の数までは対応可能なようで、小ロットなものや追加再生産時などで外注するほどの数が無い場合も使われるようです。

机とかは当然ならが生地が引っ掛がらないようなものが設置されてましたね。
外注先にも机の角や継ぎ目などで引掻けないよう細心の注意を払うように指示をしているようです。

外注には特に抱き枕カバーを扱うときは手袋をするように注意しているようです。
ただ、まだ一部では徹底されていないところもあるようで、実際に傷が多く発見される物もそういった所で扱われた物のようです。

●転写室
そして最後はこの会社最大のノウハウが詰まっている転写室へ。
今回は休業日だったので動作している様子は見れませんでしたが、メンテナンス中だったので普段は見れない部分が見れたかも。

転写室には転写機は2台、ちょっと少ないようにも見えますが機械自体はかなり大きく、1台あたり3m四方ぐらい(?)の大きさの物が2台。
それぞれ違うタイプの物で、一方は自動制御が出来る特別な装置が付いていて、これは日本には数台しか存在しない貴重な物のようです。
(生地の状態を見ながら自動で微調整をしながら転写を行う装置のようです。)

いずれの機械も転写の熱源となるオイルドラムが中央にセットされていて、かなりの熱気を発していました。

他には検査台があり、ここで印刷上がりの最終的な目視チェックが行われるようです。
ここで裏から光を当てて目視ではありますが入念なチェックが行われるようです。

チェックはこの前段階も含めて計4回行われて、ダメならばNGマークが付けられて、カット後は弾かれるようです。(この状態まではまだロール状態で進行するようです。)

この次がカッティング。ここまではロールに巻かれた状態で進行してきましたが、ここでようやく個々の生地に分断されるようです。
切ると言っても単にカッターで切るのではなく熱で溶かしながら切るようで、この部分にもノウハウはあるようです。(他社では加減が悪く溶けすぎて焦げていた例も)

カットが終われば縫製をするために先ほどの縫製室へ行くか、まとまった数であれば外注さんへと引き渡されるようです。

以上、簡単ながら社内見学はこれで終了。
他、コンセプト映像中に出てくるPC ROOMや出力室は拝見することが出来ませんでした。

一部行ってない部屋もありましたが、社屋内をほぼ一周する形で回って、また元の商談スペースへ。

他、色々聴いてきたこと

●新生地
今回行く直前あたりにA&J公式ツイッターで現行の2WTより更に改善された進化バージョンが公表され、早速それにも触れることが出来ました。

まだサンプル生地状態なので印刷も何もない素の状態の生地でしたが、以前の物よりも更に引掻き耐性が高くなっているようです。
また、肌触りも以前よりアップして、表面の光沢を落としつつも発色は更に良くなるようです。

※発色に関しては光沢を強くする方が発色は楽に良く出来るようですが、A&Jでは光沢が上がると見栄えが下がってしまう事も勘案して、ここは敢えて光沢を下げる方向での発色向上を目指したようです。

また、触ったときの(冬場は特に冷たく感じる)冷感についても弱くしてくるようですが、こちらはサンプルが暖まりきっているのでどこまで変わっているかは感じることは出来ませんでした。^^;

いずれにしても品質テストがまだの状態なので、これから何種類かの過酷なテストをこなす必要があるようです。
(ちなみに、品質テストでは耐久性を調べるのにサンドペーパーでこするような過酷な物まであるそうです^^;;)

※A&Jの品質テストはかなり厳しいようで、現行の2WTでもギリギリパスできる評価だったようです。以前問題になったサンペイクに至ってはかなり評価が低かったようで、とても製品化は無理と判断されたようです。(実際、セーレンではその生地でかなり問題が発生していたようですし…)

●AJフィールスムースとAJスタンダードスムース
現在、A&JではスムースニットとしてはAJフィールスムースとAJスタンダードスムースの2種類を扱っているのですが、どちらも出荷数があまりにも少ないので生地は1種類に減らすようです。

AJフィールスムースとAJスタンダードスムースでは見た目及びさわり心地が殆ど差が無く、値段差ほどの違いも感じられないのでOEMでは殆どがスタンダードスムースを選択されるようです。

実際、AJフィールスムースが採用された例は企業物では3~4社程度で、数にしてもそれ程多くはなくスタンダードスムースの出荷量の方が多いそうです。
それでも2wayトリコットと比べると総数は圧倒的に数は少ないようで、ただでさえ少ないのに加えてそれを複数用意しているのは効率が悪いということで、今後はフィールスムースの取り扱いは中止して、スタンダードスムース一本にしていくようです。

※AJスタンダードスムースは値段的にも安いので旧スムース生地(セベリススムース)と同じと思われがちですが、実際にはAJフィールスムースと同様の新生地で、品質もほぼ同じです。
違いと言えば生地の目が若干詰まっているかそうでないかぐらいで、それ以外の差は殆どありません。
AJスタンダードスムース、AJフィールスムース、AJ2WAYトリコット Wスエード、マイクロファイバー
※いずれもスキャナーで取り込んだ出力サンプルです。画像では多少明度を上げているので実際の色合いより若干濃いめに出ているので注意。

AJスタンダードスムースとフィールスムース、直接見比べても殆ど差は判らないですね。引きで眺めて若干鮮明度に差があるかな程度の違いです。
ちなみにAJ2wayトリコットでは更に生地の目が細かいので印刷の粒子もはっきり見えます。…とは言っても実際肉眼ではまず見えませんが^^;

あと右側のものはWスエードとマイクロファイバーで、こちらもA&Jで扱っている代表的な生地で、Wスエードの方は主にタペストリー用、マイクロファイバーの方は主にタオル生地として使われる物のようです。

レビューとかでは(自分のも含めて)フィールスムース生地が凄く良いと思われがちですが、スタンダードスムースについても殆ど遜色ないぐらい良くなっています。
※実際その担当者でも見分けが付かなくなることがあるぐらいそっくりなようです。

ユーザー側から見ると少しでも高級な欲する意見が多いのですが、OEM側は殆どの場合少しでも安くというスタンスなので、差があまりないのであれば出来る限り安い方をという事でスタンダードスムースが多く選ばれる理由のようです。

●生地の名称
以前は2WAYトリコット(ライクラ)と表記されていて、ライクラといえばA&Jという認識が強かったのですが、最近になって他社でも同様にライクラという表記をする所が増えてきたので、差別化の意味も込めてA&J製品に関しては名称の頭にAJを追加してAJ2WAYトリコットという名称を使うようになったようです。

※他社製で表記されているライクラはA&Jで使われている生地と全く同じかと言えばそういうわけではないので注意が必要です。
※A&Jの2WT生地は独自に糸を調達して生地の織り方も独自に調整を加えた物になっているので他では流通していない抱き枕専用に開発された特別な生地が使われています。

また、A&J製の最近の2WT製品は全てAJ2wayトリコットになっているのですが、物によっては旧表記の物が封入される事もあるようです。
これの原因については、包装工程を外注している都合で外注先に新旧表記の物が混じって在庫されている事から、それを区別されずに入れてしまっているのが原因のようです。
これに関しては新表記の物で統一するよう通達をしているそうで、今後は旧表記で出荷されることは無いと思われます。

尚、現在A&Jにて生産されている2WT生地の抱き枕に関しては全て新生地にて製造されているので、誤って旧表記の物が入っていたとしても生地は新しい物なので心配は不要のようです。

※在庫販売などでOEMメーカーやショップの在庫等で古い物が出てきた場合はこの限りではないです。
※尚、先ほど紹介した新生地等、生地が切り替わる前後に関しては一時的に新旧が混じって出荷される時期もあるので、この点に関しては注意。

●品質表示(取説)
品質表示はA&J標準の物の他に、OEMメーカーより指定された物を封入する場合もあるようです。

特にグッズ系のメーカーの場合は他社名が入ることを凄く嫌うようで、A&J標準の品質表示であっても製造元の部分だけは削ったり、OEMメーカー側が用意した品質表示を入れる事を指定することも多いようです。

実際には繊維製品なので品質表示には製造元の記載が義務なのですが、グッズ系のメーカー側の考えではこれは繊維製品ではないという認識をするところも多いようで、あくまでグッズの延長線の品物であってそういうルールは関係ないという考えを持っている所や、紙製品と同類の印刷物と見なしている所もあるようです。

また、組成に関しても本来は正しく記載する義務があるのですが、これに関しても実際の物とは違う組成が書かれた取説を入れるよう指示してくる所もあるようです。(例:2WT等は通常ポリウレタン入りのはずなのにポリエステル100%と表記していたり…)

それでも最近では、OEMの物ではなくてA&J謹製の品質表示を指定してくる所も増えてきているようです。
ここら辺はユーザーからの要望が強く反映されている結果のようで、ここでも信頼性の高さを覗えます。

ちなみに、品質表示で製造元が記載されている製品に関しては、不良や問題が見つかった場合には購入元を経由せずに直接問い合わせても問題ないそうです。
逆に記載がない物に関しては購入元へ問い合わせるのが基本です。
※表記がないのに多分ここだろうと思い込んで問い合わせるのは迷惑になるだけなので注意。

※同人依頼でも基本的にはA&J製の品質表示が入るわけですが、権利的にグレーな物に関しては遠慮して頂いてる場合もあるそうです。
※A&J直依頼ではない同人モノに関しては中間に挟まっている業者の判断による影響が大きいので、その場合に関してはまた違った状況になっているようです。

●判別方法
最近は同じような生地で抱き枕を作る業者も増えてきたのですが、A&Jでは判別しやすい要素も取り入れているようです。
品質表示で製造元が入っていれば一発で判るのですが、上記にもあるように製造元表記が入れられなかったり、そもそも品質表示自体入っていない場合もあるので、そういうのが無くてもある程度判別できる要素を意識して入れているようです。

判りやすい部分ではファスナーの製造元。A&Jでは以前はSKOを採用してたのですが、最近になって他社でもSKO製を採用する所が増えてきたので、これらとの差別化を図るためにYKK製を採用するようになったようです。
YKK製は価格が少し高いのですがその分品質も高いので、品質を重視するA&Jにとっては好条件のようです。ただあまり融通はきかないようで、そこら辺を敬遠されることもあってか他社での採用例は少なくて、結果A&J製と判る第一のポイントとなっているようです。

他には、外からは見えませんが、内側の縫製部分にも独自性をもった技術が使われているようで、この部分でも判別することは可能との事です。
実際には縫製部の縫い合わさっている部分、この部分に柔軟性のある特殊な繊維を一緒に織り込まれているようで、直接触ると少し厚みを感じることが出来ます。この部分は女性向けの肌着にも使われている技術のようです。(他にも女性肌着を意識した技術が使われている部分は多いようです。)

…ただ、同じではないにしても似たようなことは他社製でも行われているので、一般人がこの部分の違いで判断するのは難しいかと…^^;;

ここでもっと判りやすい方法として、ファスナー自身にA&Jのロゴを刻んでしまうのはどうかと提案してみたとろこ、かなり乗り気だったようです。^^v
(実際、引き手部分はオーダーメイドで作っているところもあるようですし、ロゴに関しては商標として法的にも保護されているので、色々好都合かと)

●ファスナー
あと、ファスナーに関してはもう一つ提案をしてみたのですが…

通常、抱き枕を単体で使っている分には問題にならないのですが、自分のように(^^;)複数使っている場合はファスナーの取っ手(引き手)部分が他の抱き枕カバーに触れて傷が付く可能性があるので、これをもう少し隠すような加工は出来ないのかと聞いてみたところ、
これも女性肌着用等で使われているものを使えば角が立たないようにする事が可能なようで、これについても改善を考えてみてくれるようです。

●封印シール
以前、CUFFSさんの抱き枕でA&Jロゴの封印シールが採用されてましたが、それ以来採用されてるのを見かけないので聴いてみたところ、やはり採用しているのはCUFFS一社だけのようで、他では採用されていないようです。
(※萌魂工房(メディオ!)さんもオリジナルの封印シールは採用されてますが、それは独自ブランド名入りなのでまた別です)

A&Jロゴ入りの封印シール自体はA&J自身が製作されて大量に在庫しているようなので、いつでも付けることは可能なようですが、実際には色々な都合があって付けられないのが実情なようです。
自社以外のロゴマークが入るのはNGというのは判るのですが、開封チェックが出来なくなるので付けられないとうのは…そもそも出荷前に開封なんてしないはずなので関係ないはずなのですが、そういう理由で断られる事もあるそうです。

そんな事もあってか、現状はCUFFSのみでほぼ独占状態になっているようです。

通常の出荷で途中開封される事はまずあり得ない事ですが、ユーザー側の安心感にも繋がるので他のメーカーさんも是非とも封印シールを付けて頂きたいですね。

●不良案件1
A&J社内での製造工程にて発生する不良に関しては何重もの検査によってでかなり抑え込まれていますが、外注に任せている工程ではどうしても完全に抑え込むことは出来ず、そこで問題が発生することがままあるようです。

外注工程…生地織りから漂白までと、縫製から包装まで。
縫製に関しては先ほども紹介した縫製室でも少量なら対応可能ですが、ある程度以上のまとまった数ともなるとそれも難しいので、その工程は外注に任せる場合が多いようです。
(印刷、転写までは機械が処理しているし、独自の技術が大きく関わる部分でもあるのでその部分は社内で行われますが、縫製や畳み作業及び包装はどうしても手作業で手間のかかる工程なので、どうしてもミスは発生しやすいようです。)

それでも注意はかなり厳しく指示しているようですが、それでも現場までは徹底が行き届いていなかったりする事もあり、ちょっとした気の緩みで問題が発生することがあるようです。

特に表面の引っ掻き傷に関しては最後の畳み工程で付くことが多いようです。基本的には手袋をして生地に触れるように指示をしているようですが、担当者によっては手袋をせずに直接触れてしまって、傷もその段階で付いてしまうことも多いようです。

縫製に関しては机の縁などで傷が付く可能性が高いので、そこら辺は念入りにチェックしているようです。(※他社製品ですが、酷い例だと引っ掻き傷の中に木片が入っていたことも…)
ちなみに、A&J内の縫製室に設置されている机はどれもスチール製で縁等は念入りにチェックされているようです。

社内の工程では評価A状態を維持していても、外注部分での問題で評価が下がってしまうのは辛いところのようです。

※現状、傷に関しては小さな物は殆どの製品で付いているので、ある程度の大きさや傷の場所によって必ずしも不良とはならない場合もあります。
特にカバーの周辺部分はどこの製品でも小さな傷が散見されているので、この部分は不良とはみなされない場合が多いようです。
※ただ、この小さな傷に関してもA&Jでは発生原因を追及して更にゼロに近づける方向で検討しているようです。

●不良案件2
最終工程で発生する問題とは別に、印刷転写前の段階で発生した問題も最近あったようです。

生地は基本的に繊維メーカーより糸を買い、布織工場にて製造されます。ポリエステル繊維で織った直後の素の状態の生地は真っ白では無く多少黄色みがかっているので、印刷(転写)をする前にもう一工程、生地を白く染める工程が必要になるそうです。

※ポリエステル繊維は元々少し黄色みがかった色をしているので、いわゆる漂白剤(蛍光染料)を使って生地を白くさせています。この時使われる漂白剤の濃度によっては印刷転写工程でのインクの乗りに影響する事があるようです。
※この工程も基本的に外注にて行われるわけですが、蛍光剤の量は同時期により多く受注している他業者の分量に影響されてしまう事が多いようです。(抱き枕用の生地は他と比べるとやはり分量が少ないので、それ専用に染め工程をするのではなくて、他の工程と一緒に処理される事が多く、どうしてもその影響を受けやすいようです。)

漂白後は当然ながら真っ白なので、特別な装置でも使わない限りはそこら辺の微妙な差の判別はできないようです。

この微妙に漂白剤が多い状態で印刷をするとインクの乗りが変わってしまい、通常の印刷では殆ど見えないはずの印刷のドットがまだらに見えてしまったり、グラデーションが綺麗にならない等の問題が発生するようです。
先ほどの転写室の部分でも書きましたが、何重もの目視チェックが行われているのですが、全体が変化してしまうような状態は判別するのが難しいようで、結局NGにもならずそのまま出荷されて、クライアント側からの指摘によって初めて問題が発覚したようです。

※通常、不良(返品)が発生する数は出荷数にもよりますが全体の数%以下(通常1~2枚程度)で、それ以上になることは殆ど無いとの事ですが、今回のこの件に関しては数割~半数というとてつもない数が不良になったようで、最終的には全品作り直しという事になったようです。(つい最近では雪さんとか…、Verdant Forceさんでもあったとかで…)
発生当初は原因不明だったようですが、色々調べていって最終的には生地の漂白工程の問題という事が判明したようです。

※他社ではこのような状態でも仕様とされる所もあるようですが、そこはA&J、やはりきっちり原因追及までされるようです。

●初期不良
上記の不良例についても同じですが、基本的に不良交換が可能なのは使用前の状態までとされています。
使用中(後)に見つかったとしても、それは受け付けられないので注意。但し、例外で全リコール等の場合はその限りではないです。

それでも悪質な人は希にいるようで…
酷い事例では、色が変わるぐらいまで使い倒し、悪臭まで発するような状態のものを不良交換として送ってきた事例も実際あったとかで…(汗

●他業種から
最近は不況(?)からか他業種からの新規参入も少なくないようで、こちらの方からも色々と問い合わせが来るようです。
独自企画で販売するための物から、それを参考にして自前で作ろうと考えているのか…は定かではありませんが、そういった所まで多種多様に。

ただ、新規で抱き枕を作ろうとしている所に対しては、ある程度指南しているようです。
A&J自身、かなりの種類の抱き枕を扱ってきているだけに、どのようなものが評価が高くて多く出るのかも含めて、生産現場だからこそ判る事は多数あるようです。

実際新規ですと、どう見ても抱き枕向きでなかったり、解像度が全然足りなかったり、線が凄く汚かったり、自分たちが見て感じてること以上に多種多様なものを持ち込まれて、その都度色々指南してきているようです。

それでも他の同業種の所と比べると、単に依頼された物を作るだけではなく、より良い物を作ろうと手をかけてくれているところにかなり好感を持てます。

●東京支店
A&J公式ツイッターをフォローしている方は気づいてるとは思いますが、東京支店が現在の練馬から秋葉原近郊に移転するようです。(秋葉原自体への移転も考えていたそうですが、流通業者の都合から秋葉原は選択できない状態になったようです。)
また、今まで東京支店には無かったショールームも設置するようで、こちらでの展開も何か考えているようです。

●番外編?
A&Jも結構うちのサイトに掲載されている情報をよく参照されているようで、過去の製作状況を調べる時や、物によっては最新の情報についても参考にされているようです。

最新の情報に関しては、事前に掲載していた情報から先に依頼が来ることを待ち構えていたりとか、なかなか来ないので問い合せたら「何故知っている?」みたいな反応が返ってきた事があったりとかw

●後記
今回の訪問は約2時間半ほどでしたが、まだまだ聴き足りないことはいっぱい…^^;; なので、また機会があれば訪ねてみたいです。
(今回、本体関係のことを全然聴いてませんでしたし… 俺の嫁!四にて展示されていた新素材(今回の新素材とは別物)についても気になる所…)

A&J東京支店が秋葉原近郊に移ることで今よりは訪問しやすくなるのかな?そちらの方も期待したいですね。

今回おみやげ?で頂いたのはこのサンプル生地のみです。w
今回頂いたサンプル生地
特に何かを期待していたわけではありませんが、これはこれで翌日の俺の嫁!in大阪にて布教活動(?)に活用させて頂きました!(※その時の様子につてはまた後日)

今回の訪問で長々と付き合って頂いた専務の吉野さんと社長の吉野さんのお二方に大変感謝致します。m(_ _)m

2 件のコメントがあります

  1. サク 2011年2月16日 pm8:46

    同じA&Jのライクラでも、生地の厚みが違う気がしてたんですよね。
    細部の描写がしっかりとした物だと厚い。
    そこまで細部に力を入れていないものだと薄い。
    厚いものだと色調が若干濃いめにでる。
    薄いものだと色調が若干薄めにでる。
    本社製造か外注かで差が出るのかもしれませんね。
    大量生産の場合、外注になるのが解ったのは大きいです。
    興味深い記事をありがとうございました。

  2. 萌え枕er 2011年2月16日 pm10:23

    >サク様

    一口にA&Jのライクラと言っても、常に新しい生地を模索しているようですから、生産された時期によってもかなり色々な生地が存在しますので、その違いという場合もあるかと思いますよ。
    実際、初期の頃のA&Jはかなり色が濃かったと思いますし、2009年と2010年でも生地は違うものになっているはずです。

    また、印刷自体を外注で行うということはないでしょうから、大量生産による外注行程で差が出るとすれば縫製の出来の善し悪しなどではないでしょうか?

    >管理人様

    詳細なレポートありがとうございます。
    大変為になる情報がたくさんありました。

    フィールスムースが無くなってしまうとの事、残念ですが確かに採用製品が少ないですから。
    ですが、スタンダードスムースでもほとんど変わらないとの事で安心致しました。
    去年6月のDreamParty大阪でフィールスムースのサンプル展示を触った時には、従来のセベリススムースとの比較で物凄く良くなっていた為、その後にとても期待致しましたが、その時スタンダードスムースは展示されておらず、A&Jの説明でも従来のスムースからセベリス防臭加工をやめただけ.....みたいな話でしたから、ちょっと誤解していたようです。

    その他、ファスナー等による判別方法や品質表示の話、漂白行程での影響等々、どれも興味を引かれる話ばかりでした。

    また、メーカーがA&Jでの制作を発表しても、実際にA&Jに発注するのは結構後になることもあるのだというのも、(考えてみれば当然なのですが)意外でした。
    それにしても、A&JさんもこちらのHPを閲覧していて、結果メーカーの人に「何故知っている?」と言われてしまうあたり、A&Jの仕事熱心さが表れているような気がします。

    以上、長文失礼致しました。

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