《レポート》A&J東京支店訪問レポート

前回のA&J京都本社に引き続いて今回はA&J東京支店の方を訪問してまいりました。
今回の訪問は以前から何度か誘いを受けていた事に加えて、少し前に販売された抱き枕の不良交換もあったので、その件も併せて行ってきました。

●場所
今回訪問した東京支店は最近移転してきたこともあり真新しいオフィスといった印象でした。
A&J東京支店入り口
場所は秋葉原駅の隣、浅草橋駅からほど近くオフィスビルが建ち並ぶ中にあるビルの一室。こちらは京都本社とは違い印刷工場等はなく事務スペースと商談スペースのみの純然なオフィスといった印象です。
(上の写真で正面横の扉がある一室は商談スペース、左側には事務スペースでこちらは施錠されているで入ることは出来ません。)
(※細かい業務内容については聞いてなかったのでよく判りません^^;;)

※不良交換の件については既に別記事にて書きましたのでそちらを参照下さい。

以下、今回の訪問で聞けたことについて箇条書きにしてみました。

●縫製工場
A&Jの場合は印刷が京都にある本社もみで行われている都合、縫製工場もその周辺(関西圏)に集中しています。
なので、一部で心配されてる震災の影響については殆ど無かったようです。
(その代わり、発注する側が震災の影響等で入稿が遅れたり発注時期を遅らせたりした結果、生産が短期間に集中したために今回は通常の工場では手一杯になってしまい、予備の工場も使う事になったようです。)

それに対して関東圏に印刷所を持つ業者の場合は、関東から東北にかけての縫製工場を使っている場合が多く今回の震災の影響をもろに受けている所も多いようです。
(一部でかなり納期遅れが発生している所もあるようです。)

●生地
A&Jで採用している生地はもちろんライクラですが、ライクラはインビスタ社の登録商標でありその名前を掲げるには許可が必要で、更に商品名に東レライクラ改という名称を付けるに当たり東レにも正規に許可を頂いて販売されています。
最近では他業者でもライクラ生地が採用されるとこも多くなり、そちらでも似たような名称を付けて生産されることも多くなりましたが、同じライクラという名称が付いていても全く異なる生地となっています。
(それでも最近はかなり近い肌触りの生地も出てきていますが…)

A&Jが扱う2WT生地は公式サイト上でも説明されている通り独自で開発された物であり、他で流通している物とは全く異なります。(※他社で採用されてる生地は他用途用に生産された生地を使っている例が多いようです。)
(ライクラ生地自体は女性肌着用の高級な物から腹巻き用なものまでそれぞれの用途毎に様々な種類が存在し、一概にライクラといっても同じではないです。)
(A&Jがライクラと表記しているから他業者もライクラを表記するようになったとも…)

ちなみに、縫製も含めてA&Jの抱き枕に関しては女性用肌着で使われる技術が多く取り込まれているようです。

●新素材
新生地に関してもかなり試しているようで、試作段階に達した物以外にもかなり多数の種類を試しているようです。
公式ツイッターを見ている方は気がついていると思いますが、最近までに最終テスト段階まで達した生地が2種類あったのですが、どちらも結局現行のAJ2wayトリコットを越えられなかったという事で、またやり直しになったようです。(なかなかうまくいかないようです…)
(※現行のAJ2wayトリコットでもA&J基準ではかなりギリギリのラインなので、相当厳しいように思われます。)

●解像度
印刷に関しては、A&Jの現状の印刷では最高で250dpiまで再現可能なようで、高い解像度で入稿されればそれなりに高い品質で印刷再現することが可能なようです。
(一般に200dpi以上あればほぼ判らない状態ですが、それの更に少し上の解像度まで再現可能なようです。)

ただ、実際には作成される環境や使用ソフトの制限もあってあまり高い解像度で生成できずにいる所も多いようです。
よく利用されているSAIに関しては最大で10,000×10,000pixelなので縦160cmをそのまま作成しようとすると150dpi(158.75dpi)が限度になってしまい、それ以上の作成は不可能になります。
PhotoShopであればもっと上(7.0なら30,000×30,000pixel、CS以上なら300,000×300,000pixel(参考))まで行けますが、高い解像度を扱おうとするとそれなりにメモリー及びマシンパワーも要求されます。(特に作画途中で多数のレイヤーを扱う場合、かなり辛いようです。)
(ちなみに250dpiで作成するなら160×50cmの片面で約5,000×15,800pixelは必要になる計算)

(実例ですと、その制限を回避するのに上下を分割して作成されて入稿してきた所があったようですが、上下で色合いに差が出来てしまい境界線が出来てしまって綺麗に繋げられなかったという例もあったようです。)

●色校正
色合いに関して、データ入稿であってもサンプルになる印刷物や写真があればそれと照らし合わせて色合いの指定をすることも可能なようです。
(過去に製造された商品を指定してこの色という指定も可能だとか。)

色校に関して、A&Jでは専用のデザインルームにて専門の担当者が色調整を行い、出来るだけ希望される色合いに近い状態に調整されてサンプルを出力されるようです。(その分色校に関しては費用がかかりますが…)
他業者に比べて色の再現性が高いのはここにあるようです。また、これにより色校確認の回数も格段に少なく済ますことが出来るようです。

(某S社の場合では1回の色校では全く希望する色合いにならず、その後何度も色校をやり直す必要が出てくるようです。
それ以外にも某F社場合ですと、1回の色校で色味の違うサンプル画像が多数印刷された状態の物が提出されるようで、こちらも調整にはかなり苦労させられるようです。)

また、色校行程では単に色合いの調整だけでなく、データー上のエラー(ゴミや塗り忘れ、ズレ等)も調べてくれるようで、簡単な物だとその場で修正もしてくれるようです。
ここに関しても他の印刷業者ではまずされない工程なので、なかなか手厚い対応と思われます。

●試作品
開発商品 添い寝ポスター?
A&Jでは抱き枕以外にも多数の商品開発をしているのですが、今回新たに見られたのは「添い寝クロスポスター(仮)」(どうみても添い寝マット)で、ベッド横の壁に貼ることを想定しているらしいのですがどうやって張るのかはまだ決まってないとか…。
ちなみにクッション材入なのでそのままベッドに敷いて使うことも可能とか(やっぱり添い寝マット^^;)。抱き枕を買うには二の足を踏んでいるような人向けのアイテムなようです。

衣装カバー?
他に小物としては布製CDカバーとか手袋型のモニタークリーナーとか。
あと変わり種としては、衣装カバー(着用可能)とかw。通常の衣装カバーであれば袖の部分は開いてないのですが、これは袖の部分に腕が通せるように開いていて、ちょうどベストのように着ることが可能らしい。(使い方は人それぞれ?)

あとかなり前から試作が繰り返されてる新型ム~ブラですが、訪問した時はまだ進行状況不明な状態でしたが、その翌々日にツイッターにて最終段階という発表が…。(ただ、まだまだ予断は許さない状況みたいですが…^^;;)

ちなみに痛カーテンはどうかと聞いてみたら、サイズ的に色々難しいらしいです。大きさ面と大きさに対する不良率の問題で、妥協しないA&J品質ではコストがかかりすぎて利益が出せそうにないとか…
(実際に作るとなると窓のサイズに合わせて多数の種類を用意する必要があり、また、オーダーメイドという形も無理なのでなかなか難しいようです。)

●本体
毎回同じ事を言ってるような気がするが、現行のDHR4000より柔らかい本体が欲しいという要望を出してはいるのだが…、今回もあまり良い返事は頂けませんでした…(汗
あと、本体に関しては訪問した時にはあまり進展がないようなことを言っていたはずなのですが…、その翌々日にはショップ委託にて新しい本体が…(けどA&J公式には記載がないし、受付開始数日後には何故が受付が中断されているし…謎です。)

本体の販売状況については、かなりコンスタントに売れ続けているようで、毎月増産が必要な状況が続いているようです。
時期による出荷量の変化はあまりなく、ほぼ同じペースで売れ続けているようです。(買い替え需要にしては多すぎるし、やはり新規が増え続けているという事なのかな?)
(ちなみに他社(某M社)製も同様に売れ続けているとか…)

(確かにキャラハイなどでの本体の入荷状況が毎月更新されてるような気がしますし…)

●公式サイト
新人さんがある程度HTMLの知識があるようだったので全てその方に任せようと目論んでいたようですが、これから夏にかけてかなり忙しくなる為に暫くはそちらの作業に集中する様子です。なので、サイトの状況はまだ暫くはこのままにされるようです。^^;

あと、サイト上でもう少し詳しい情報を公開してみては?とも聞いてみましたが、それに関してはあまり細かい情報(受注価格等)を出すと他業者がそれを基準に値段交渉をしてくるようで、あまり出すわけにもいかないとの事。
(どうやらA&Jの受注価格を基準に「それよりも安くしますヨ」的な売り込みをするところが多いようで、あまりはっきりとは出せないらしいです…)
(まぁ実際の所、A&J水準に達してなかったり同じ生地を用意できるわけではないのに同じ生地で安く作れると謳う所も…(同じ生地という基準もかなり曖昧だったりしますが…))

●偽造品事例
以前あった偽造の手口はある程度把握しているようで、実際にあった手口の例としては…
「イベント等で直接購入して全面スキャンした後、線の取り直しや塗り直しを行って印刷をする」という所もあったようです。そこの場合、偽造された物は描き込みが実物より少なかったり、色が違っていたりしたそうです。
ちなみに、それを行っていた業者に対しては直接交渉も行ったようで現在は行っていないようですが、偽造業者はそれ1つではないので偽造業者は後を絶たないようです。(ちなみにその業者は代わりに正規品を扱いとも言ってきたらしいのですが、流石にそれは…)

それ以外には最近発覚した品質表示を偽造する業者に関してはまだ完全には把握できてはいないようです。

●後書き
今回は不良の件もあったのと、以前から誘われていたので今回の訪問に至ったわけですが、また何かあれば行ってみたいと思います。
(商談というわけでも無いので、なかなか行く機会は無いのですが^^;;)

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